レトロ自動調理販売機が一部マニアの間でブームだそうだ。
NHKのドキュメント番組がきっかけでブームに火が付いたのだろうと察する。
レトロ自動調理販売機の筆頭といえばやはりNHKでも取り上げられた天ぷらうどん/そばのやつだろう。
俺がまだ中学生や高校生だった頃、その手の自動調理販売機にはよく世話になったものだ。
というのも、当時俺は自転車で日本海側に出かけることなどしんどいとも何とも思っていなくて、春休みや夏休みともなれば母の猛反対を押し切って天橋立などによく出かけていた。
野犬に追っかけられたり、ジャリトラ(ジャリを運搬する巨大トラック)に跳ね飛ばされそうになりながら、夜中でも真っ暗な峠道をひたすらペダルを漕いだものだ。
そんな峠道でしばしば自動調理販売機に遭遇した。
まだ24時間営業のコンビニもない時代、砂漠でオアシスを見付けたような、そんな存在だった。
俺が一番よく食べたのは日清カップヌードルだ。
カップヌードルの自販機から熱湯が出てくるので、その場で食える。
当時はなぜかこの手の販売機だけに「カップヌードルそば」という変わり種があって、もっぱらカレーかそばを食ったな。
昨今ブームのうどんやハンバーガー、ホットサンドなどは美味かったという記憶が全くない。
かなり腹が減っていた状態にも関わらずそんな記憶しかないのは、どれもイマイチな味だったのだろう。
レトロ自動調理販売機がブームになるのであれば、峠の飯屋/ドライブインの存在ももっと見直されるべきではないか。
最も、見直す以前にそのほとんどは姿を消してしまったのだろうが。
もつ煮定食で有名な群馬県永井食堂のような食堂が昔は日本全国の山道にあったのだ。
自転車で日本海を往復する道中、俺はそんな店にも大いに世話になった。
どの店であれ決まって俺が頼んだのはご飯の大盛りと味噌汁だけ。
母:「どうしても行くなら自分の小遣いで行け」
というわけで、毎回かなりの貧乏旅行だった。
ご飯に醤油少々と味噌汁をぶっかけて食ったが、これが最高に旨い。
俺の青春時代を代表する味と言えよう。
店によっては味噌汁を豚汁にサービスしてくれたり、ご飯が超大盛りであったり、小鉢が付いてきたりといろいろなサービスをしてくれ、世間の人情を痛感した。
いよいよ金がなくなれば大盛りのご飯のみを注文して卓上の塩と醤油をかけて食べた。
こんな時、白飯に漬け物が付いてくる店が最高にありがたかった。
道中パンを食べた記憶がないのは、パンでは力が出なかったからだろうと思う。
復路で園部や亀岡まで帰ってくると後は所持金なしでも何とかなるので、最後は贅沢してカツ丼やどさん子ラーメンでよく食べたな。
味噌ダレで食べる餃子定食が美味かった。
昔は田舎道でよくどさん子ラーメンをよく見掛けたものだが、このチェーン店はまだ存続しているのだろうか?