介護生活を始めて大きく変わったことがある。
その一つが家の見方。
どんなに素敵な家であれ、玄関から外にかけて段差の多い家は全てダメ。
我が家は幸い昔の家なので段差があるにはあるものの、何とか室内で親父を車椅子に乗せたらそのまま外に出ることができる。
よって、雨降りでもなければ俺の運動も兼ねて毎日一時間ほど親父の車椅子を押して散歩している。
ところがどうだ、最近の家は玄関から外までの段差がやたらと高く、また多い。
車椅子に乗せたままではとても外へ出られないような家も少なくない。
あれでは少なくとも終の住処とはいくまい。
バリアフリーという言葉自体は既に定着して久しいが、現実となるとなかなかそうもいかないようだ。
というよりも、若い夫婦が家を建てる時にそこまで思考が回らないのかもしれない。
まあ、それはそれで思考が健康的ということか。
1階は駐車場で玄関までは数段の階段、2階がリビングとキッチンで3階が寝室。
近所ではこんな家がとても多いが、もし我が家がこのタイプであれば介護のために引っ越しする必要があっただろう。
外へのバリアフリーという観点ではマンションの方が遙かに優れている。
いずれ一人になれば俺はどういう家、どういう場所に住みたいと思うだろうか。
今の家に住み続けるのか、東京へ越すのか、田舎へ越すのか、wifi環境さえあれば世界中どこでも仕事ができるのでいっそ海外という選択肢もある。
時々あれこれ考えてもみるが、それがいつになるかもわからず、結局途中で、
「まあ、そのときの気分次第で...」
というところに落ち着く。