俺も男なので欲しい腕時計の一つや二つはある。

一番欲しかったクロノグラフは社会人になって真っ先にローンで買った。

今、それには買った当時の10倍以上の値が付いている。

後はジャガー・ロベルソにパテックフィリップがあればいい...

そう長いこと思い続けていた。

けれども、この歳になって思う。

リスペクト系の腕時計も十分に面白いと。

すなわち、ロレックスリスペクトであれば例えば見た目はサブマリーナそっくりなのだが、よく見ればロゴが違う、そんな時計。

ちゃんとした別会社のロゴがあるので偽モノとは違う。

あくまでリスペクト。

そんな時計がこの歳になって好きになってきた。

俺が言いたいのはこうだ。

例えば2m離れた人物が俺の腕時計を見たとする。

おっ、デイトナか...

リスペクト系でそう思われることに男の人生の醍醐味がある。

反対に本物にもかかわらず偽物やリスペクト系にしか見えない、これは男として致命的だ。

そんなリトマス試験紙のような腕時計が今になって好きになってきた。

3,000円で買った安時計が30万円に見えるのであれば、これまでの男の生き方としてはひとまず合格であると言える。

それは今までの人生を歩んできた上で培った品格とでも言うべきか。

男でも女でもヴィトンのバック持ちをよく見掛けるが、似合っていると思うのは、まあ、100人に1人いるかどうかだな。