昨日の親父との夕食での話。
デイサービス先で親父と最も親しいと言ってもよいK野さん。
K野さんは80歳を越えてなお食欲旺盛で、特に肉系が大好きとのこと。
先日、昼のメニューが唐揚げだったそうで、K野さんは親父に、
「○○さん、今日は唐揚げやで!」
「唐揚げにレモンちょっと搾って食べたら美味いな~」
などと到着早々から話していたという。
で、昼飯の時間になって配膳が終わると、K野さんが、
「ワシのにレモン乗ってない!」
と叫んだそうだ。
そこで特にレモンの要らない誰かがあげたり、あるいは、職員がレモンをもらいに行ったりすれば良かったのだろうが、それもなく、K野さんはブチ切れたらしい。
食事中もずっと、
「まずい、まずい!」
と大声で叫びながらも全部平らげたそうだ。
これは悲劇か喜劇か、いずれにせよ、唐揚げ大好きな俺にとってその気持ちは痛いほどよく分かる。
聞けば縦カットではなく横スライスのペラペラなレモンだそうだが、自分の皿だけにその一枚が乗っていないとなると文句の一つも言いたくなるのは当然だ。
ましてやK野さんはその日の朝から唐揚げを楽しみにしていたのだ。
ブチ切れるのもわからなくはない。
親父は指先がいささか不自由なので、
「K野さんにレモンあげたら良かったのに」
と言えば、
「よう搾らんけど、いつも唐揚げでレモンをポンポンと叩いて食べてる」
とのこと。
なるほど。