彼岸の墓参りに天王寺まで出向いたので、せっかくここまで来たのだからと、久しぶりに難波の街を歩いてみることにした。
天王寺から電車は使わず、新世界、日本橋、難波、心斎橋、長堀橋とミナミウオークを堪能した。
いいな、久しぶりのミナミは。
最も好きなのは道頓堀界隈だろうか。
中でも法善寺横町から極狭の路地を抜けて今井の店先に出る瞬間が散歩のクライマックスである。
悩んだのは昼飯だ。
今なら並ばずに食べられる今井のきつねうどんや美津濃のお好み焼き、天丼の店(これが店名)、グリルはり重、総本家更級、焼き肉五苑、市場寿司...
と、候補は尽きないが、俺が選んだのはまたしてもマッチョである。
ここはド真ん中の二郎系ラーメンを食わせてくれる店で、自宅から徒歩圏内に同様の店があるにも関わらず、かつ、その店よりもレベルが一段落ちるにも関わらず、久しぶりのミナミでなぜマッチョを選んでしまうのか?
それはマッチョがロット制でないから。
説明は省くが、要するにロット制を導入している二郎系の店に比べてのんびり落ち着いて食べることができる。
マッチョならビールを飲みながら最後までマイペースで食べることも可能だ。
こののんびり感が俺にとって大いなる魅力となっている。
徒歩圏内の店は麺、スープ、チャーシューどれもがハイレベルなのだが、常に麺増量の野菜マシマシでしか注文しない俺にとって、丼の中身も後半になり退店する者が出始めると、
「そろそろペース上げるか」
といった具合で、どうも最後まで落ち着いて食うことができない。
「ああ、この店がロット制でなければ...」
と、何度思ったことか。
そんなわけで、久しぶりのミナミにも関わらず、俺はまたしてもマッチョに向かってしまうのである。
まあ、この話、わかるやつにはわかるやろ。