庭に放置していた青のバケツ。
そこに雨水が溜まり、落ちた葉が沈殿し、日が差し、藻が繁殖し、気が付けば一つの生命ゾーンを形成していた。
覗き込めば、そこにはいろいろな生命が満ち溢れている。
ミジンコ、ボウフラ、その他名も知らぬうごめきに混じって超小型カタツムリのような貝類まで多種多様だ。
一体彼らはどうやってこの空間に進出してきたのか?
ボウフラに関しては蚊が卵を産み付けたのだろうと理解できるが、昨年に産んだ卵が冬を越して孵化したということか。
ここまでずいぶんとバケツを放置したものだが、もともと我が家の狭い庭いじりは専らおやじがしていたのであって、俺はノータッチだ。
鳥が運んできたのであろう種も初夏を迎え、野菊やらが綺麗に咲いている。
全く手入れがなされていないので一見草ぼうぼうだが、俺はこれはこれで野趣があっていいと思っている。
手入れの一つもしてやればいいのだろうが、介護であれこれ時間を取られてそこまで手が回らない。
ボウフラを羽化させたくないのでボケツの水を捨てたいところだが、それをやってしまうと我が家の庭に生まれた小宇宙にハルマゲドンを起こすことになる。
よって、たまにピンセットでクネクネと動くボウフラだけをつまんで追い出している今日このごろ。