歩けなくなった親父の唯一ともいえる趣味、それはスポーツ中継を楽しむこと。
とりわけ野球、サッカー、大相撲、卓球、マラソンが好きなようだが、先日はカーリングを声を上げながら熱心に見ていた。
が、あれだけ中継を楽しめているにも関わらず、親父の読みの浅さは微笑ましいものがあった。
まるで毎投毎投がラストストーンのようで、二手先も三手先もなく、とにかく真ん中に投げたり相手の石を出せばそれで良い、といった風だ。
ガードストーンを投げると黙り込んでしまう。
最も、俺にしたところで似たり寄ったりで次のストーンの予想がつかないが、それでも楽しく見ることができる。
次の楽しみは正月の駅伝だ。
こうしてのんびりスポーツ中継を見ることができるのも外で仕事をすることもなく親父の介護に専念しているからであって、与えらた命を燃やしているという実感はここ最近全くないが、今は存分に楽しもうと思う。