師走、久しぶりに一心寺へ墓参り。

その後、更級そばで一杯やるつもりが定休日でもないのに何故か閉店。

「蕎麦の次に俺は何を食べたいのか?」

と自問自答しながら日本橋のオタロードをのんびり歩いて難波へ抜けた頃、ようやく答えが出た。

カレーだ。

せっかくミナミにいるのだからチェーン店のような一皿は食いたくない。

いくつか候補はあるが、はり重カレーショップ(洋食屋)にした。

かれこれ十年以上振りといったところか。

売れ筋はビーフカツカレーだが、ここではカレーライス一択。

はり重のカレーを単なるカレーと侮ってはいけない。

ビーフカレーを遙かに通り越し、カレー味のビーフシチューをご飯にかけた、と形容しても嘘にはならないだろう。

要するに、牛肉がゴロゴロと入ったビーフカレーということだ。

しかも、そもそもは隣にあるはり重という精肉店のカレー屋なので上質な国産牛が使われている。

帝国ホテルでこのカレーなら5,000円、安くても3,500円といったところではないか。

それが一皿880円(2021年12月現在)ときたもんで、一口食べて昇天し、なぜここ十年以上来なかったのか?

全く狂気の沙汰である。

生卵を追加し、日本酒も一杯。

それを他の客たちの三倍以上の時間をかけて食べる。

最後までちょこちょことコップに水を入れにきてくれたので、狭い店ながら迷惑がられているような気配は感じない。

店を出ればもう満足感しかなかった。

カレーも捨てがたいが、次はすき焼き丼で一杯やるのもいい。

例えれば浅草今半のそれに近く、これまた高レベルで低価格。

こちらも至福の一杯だ。

振り返ってみれば更級そばが閉まっていたので久しぶりに再会した極上ビーフカレーだったが、これは食い気過多な俺に対するご先祖様の配慮だろうか。