俺と親父は味の好みが概ね似ており、日々のおかず作りにおいて大いに助かっている。

その最たるものがカレーと麻婆豆腐だ。

お互いに辛い味が大好きなので、遠慮なく激辛仕様に仕上げている。

けれども、煮物はだしを効かせて旨みを出しつつ薄味に仕上げるのがお互い好き。

よって、日々の味付けに関してはあまり困ることがないのだが、一つ大問題がある。

それは米の炊き加減の好みが正反対であること。

俺は固めの炊きあがりが好きなのに対して親父は柔らかめを好む。

俺に言わせれば、あんなものは雑炊の一歩手前ではないか。

よって、苦肉の策として固くもなく柔らかくもなくという仕上がりを目指して水の量を調整しているが、毎回そう上手く炊けるものでもない。

結果、少し固めに炊ければ俺が喜び、少し柔らかく炊ければ親父がラッキー、といった具合。

ただし、米を炊くのは100%俺なので、今夜は生姜焼き等々でがっつりと飯を食いたい日などはわざと固く炊く。

本音を言えば毎回わざと固めに炊きたいくらいだが、それだと親父が死んだ後で絶対に後悔しそうなので我慢している。

人の好みは勝手だが、なぜあんなベチャ飯を好むのか俺には全く理解できない。