親父の介護を除いてはそれなりにのんびりした年末だったと思う。
というよりも、毎年末恒例であった北陸旅行に行けないので家でのんびりするしかない。
その時間的なリソースはおせち作りに回した。
自分で言うのも何だが、おせちを作らない家も多い中、男二人の所帯で手作りおせちはなかなかのものではないか。
誰に見せるわけでもないので、好きなものを多めに作って詰めた。
出来上がった品々が入りきらなかったのでもう一つある重箱に詰め、大晦日に親友宅に持って行ったが、なかなか評判であった。
俺の好きな具で最も多く余るのが棒だら。
これは関西特有のおせち料理とも聞く。
丸のままのタラを干して完全に水分を抜いたものを棒だらと言い、それをもう一度水に漬けて戻し、甘辛く炊いたものだ。
正月の間は酒の肴に良しだが、肴として飽きてくると茶漬けにして食べても旨い。
よって当面の俺の晩酌の〆は棒だら茶漬け、田作り茶漬け、味付け数の子茶漬けが続くことになる。
棒だらは毎年半身を炊くのが我が家の伝統で、俺もそれを守った。
よって大量に炊けたので、半分は冷凍にした。
舌が棒だらの味を完全に忘れた夏頃に引っ張り出して食うと実に旨い。
棒だらの冷やし茶漬けは我が家伝統の涼味である。