過去、いろいろな酒場で飲み食いした。
美味しい料理や忘れがたい店主の店はあちこち思い出されるが、店の喧噪それ自体が酒の肴になるという意味において唯一無二の店がある。
こんな店は俺の知る限りにおいて大阪にもなければ東京にもなく、その他全国どこにもなかった。
秋吉という全国焼き鳥チェーンの福井片町店がそれだ。
当雑記で以前既に紹介した記憶があるが、この店の喧噪がいわく忘れがたい。
「ドリンクさん」「焼き場さん」等々、
この店特有のオーダーの通し声が、ほとんど常に満席の客の会話やら、炭火の炎やらと相まって他の店では感じられない独特の喧噪を醸し出している。
よって、寂しがり屋な性格であればとても一人では飲めないような賑やかな店だが、俺のように孤独もまた楽しと思えるのであれば、喧噪を楽しみながら一人ちびちび飲める。
毎年末のそんな秋吉片町店通いが途切れた。
店の喧噪とニンニクダレを付けて食べるシロの味が最近ふと懐かしく思い出される。
今年の年末は行けるだろうか?
しかしながら、行けるとなれば親父はもういないということになるので、思い出している場合でもないな。
まあ、いつかまた。