先日、鶴橋での買い物の後、時間が少々余ったのでミナミ界隈を散歩した。
途中、オタロードと呼ばれる通りを歩いた。
オタロードとはオタク達が集う一帯で、通りにはメイド喫茶の客引きコスプレガールが多数立っている。
平日の昼間ということで通りを歩く男も少なく、よって逆に客引きの集中砲火を浴びることになる。
と、すぐに俺は異変に気付いた。
通りに立つメイドの誰一人として俺を勧誘してこない。
試しにわざと近づいて目の前を通り過ぎてみたが、まるで俺など存在しないかのようだ。
そんな俺の前で、
「頼むから前進させて!」
などと足を止められた男もいる。
要するに、俺の雰囲気がオタロードに全くそぐわないということなのだろう。
この日は黒のニットキャップに黒のチェスターロングコートを羽織っていたので、繁華街の大鏡に映る己の姿を見てみればワイルドを通り越して威圧感全開のダース・ベイダーのようだ。
まあ、これでは嬢も声を掛けにくいだろうが、オタロードで俺だけ声を掛けられないという現実に俺はとても満足している。