「好きなおでんの具は?」

そんな話になるとしばしば上位に登場するのが玉子である。

が、俺はそんなおでんの玉子があまり好きではない。

何口かで食うのが普通だろうが、その間、食い進むうちに玉子の黄身がポロポロとつゆこぼれ落ちるのが気に入らない。

とは言え、味そのものは嫌いなわけではない。

そんな俺がある日ふと思い立った。

「普通の玉子ではなくうずらの玉子を入れればいいのではないか?」

といったところでうずらのゆで卵をチマチマと作るわけではなく、水煮のそれを放り込むだけだ。

これが、

「実にいい」

のである。

一口で食える、仕込み不要、味は玉子。

以来、我が家のおでんの玉子といえばうずらの水煮一択である。

ぜひ試されたい。

ちなみに、更におでんをshadow風に近付けたいのであれば油カスを入れるべし。

最近では少しずつ認知されてきたようだが天カスとは全くの別物で、牛の腸を揚げたものである。

そもそもは金額的な意味で口にするのが困難になってきた鯨の舌の代わりに入れてみたのが始まりだが、

これが、

「実に素晴らしい」

のである。

ただし、実際に探したことがないが、大阪と京都以外で手に入れるのは極めて困難であると思われる。

よって、一度お試しあれ、とは言わぬ。