過日、我が家独特のおでんだねとしてトウモロコシを紹介したが、もう一品肝心なものを紹介し忘れていたので追記しておく。
我が家独特のおでんだねその二は「油かす」だ。
最近では少しずつ認知されてきたが、まだまだ油かすと聞けば天かすと勘違いする者も多い。
牛の小腸を油で揚げたもので、一応は大阪名物ということなっているが、俺の感覚では大阪というよりもむしろ京都名物である。
京都人は油かすを全くプッシュしていないが、京都の多くのお好み焼き屋ではトッピングのメニューにあるか、あるいは最初から入っている。
大阪で油かすと言えばお好み焼きというよりもうどんだが、このような食べ方は比較的最近のものだ。
で、俺はその油かすを今では超高級食材となってしまったコロ(鯨の皮の部分)の代用として入れ始めた。
これがなかなかどうして、代用以上の味わいがある。
その味わいを文章で表現するのは難しく、ここでふと開高健が日本橋にあるおでんの名店たこ梅で出されるサエズリ(鯨の舌)に関して書いたコラムのことを思い出した。
要約すばれ曰く言い難い味があり、いつまでも口の中でクチャクチャ噛むからサエズリとなった。
当時これを読んでたこ一本店に飛んでいったものだが、おでんに入った油かすはコロの代用というよりもサエズリに近いかもしれない。
俺がおでんで最も好きなのは大根と油かす、それくらい気に入っている。
にもかかわらず、俺はおでんに油かすを入れている店を京都でも大阪でも一軒も知らない。
元祖として始めるなら早い者勝ちだと思うがな。
ブツ切り三つほどを串に刺しておでん鍋に入れればそれでこと足りるので、家庭でぜひすすめたい。