俺の住む町にはいま流行りの高級食パン屋が二軒ある。

一軒は乃が美、もう一軒は銀座に志かわ。

両者食べてみたが、どちらが好きかと問われれば俺はに志かわだな。

何も付けず乗せず、ただ分厚く切ってそのまま食べるのが好きだ。

買った当日のやつが特に美味い。

親父もすっかり高級食パンの味を覚えたようで、朝食に一枚二枚とても美味しそうに食べている。

パンの友に豆から挽いてコーヒーの一杯でも入れてやればいいのだろうが、俺はコーヒー紅茶は全くたしなまない。

代わりにDAISOで買ったココアを一杯。

それでも親父は十分に満足してくれている。

つまりは甘いモノ好きなのだ。

高級食パンは少しでもつまみ食うと止まらなくなるので注意が要る。

俺は基本朝昼抜きなので昼下がりにはすっかり腹も減っており、この時間にうっかり摘むとそのまま半斤ほど胃に消えてしまうことになる。

ちゅうか、そういうことがあったのだ。

両店はとても近い距離にあるので、年内にいずれかが撤退するだろうと予想している。

その反面、俺は高級食パンブーム自体は結構長く続くのではと思う。

高級とはいえ、たかだかラーメン一杯程度の値段だ。

庶民のたまの贅沢として、あるいは手頃なお持たせとして、息は長いのではないか。

俺もすっかり味を覚えた一人として、月に一、二斤程度は食べたいものだ。