俺は映画でショッキングなシーンがあってもさほど動揺しない性格なのだが、唯一、苦手なシーンがある。

素手で日本刀を掴むシーンだ。

その切れ味を身を持って体感したことのある俺にとって、日本刀の刃を素手で掴むなど到底あり得ない。

どの映画でも掴んだ手のひらから血がしたたり落ちるという具合だが、めちゃくちゃ痛いというか、指が飛ぶやろ。

先日、映画館において不意にそんなシーンに遭遇してしまった。

内容を何も知らずに観に行った「私の幸せな結婚」という作品だ。

今でもあのシーンを思い出すと右の掌が疼く。

毎日料理しているにも関わらずもうずいぶん長いこと包丁で指を切っていないが、そろそろやってしまう頃かもな。

映画はそれに対する天からの警告だったのかもしれない、と解釈している。