あるM女が東京へ出て早や10年。

俺と同様に食べること好きの彼女は東京に住む喜びをこう表現した。

「アド街で気になった店に翌日行けることの幸せ」

なるほど、確かにそれは幸せだ。

俺がいつか暮らしてみたい街の候補に東京が入るのは飲食店の圧倒的な充実振りにある。

大阪や京都神戸もなかなかのものだが、俺の行きたい店はこっちにはなくて東京にはある、というパターンが多い。

例えば郷土料理を出す店がそうだ。

俺は一度秋田のきりたんぽ鍋を食べてみたいが、本場のそれを出す店は大阪にあるのか、ないのか?

東京なら必ずあるはず。

その他、青森の貝焼き味噌、山形の冷やしラーメン、長野のお焼き...等々、挙げればきりがないが、東京なら本場の味を提供する店が必ずあるはず。

ちゅうか、現に食べた。

最近の流行であればベジ郎の野菜炒め定食を食べてみたい。

俺の手持ちの株を全て処分すれば23区内にマンションの一軒は買えるだろう(狭いが)。

いずれ俺が自由になった際、まだまだ食に対する興味が旺盛であれば東京に越すこともあるかもしれない、という話。