俺の表の顔、つまりは会社員という顔が綺麗さっぱりなくなった。

俺を知るほとんどの人間は表の顔しか知らぬ。

その表の顔がなくなり、後に残ったのは真の俺だ。

だから、なお一層自分を戒めている。

だらけようと思えばいくらでもだらけることができるが、真の己がそれでは情けないではないか。

以前より更に早く起きるようにしているのもその一つ。

毎朝4時に起き、近所を軽く散歩したら早速仕事に取りかかる。

この場合の仕事とはもちろん辞めた会社の仕事ではなく、収益を生んでいる俺のライフワークのことだ。

土日祝日関係なし。

そんな日が年明けから続いている。

近所の人々は俺が介護に専念するために会社を辞めたのだと思うだろう。

しかし、その実体は仕事漬けの日々だ。

こうしてみれば、もっと早く会社を辞めるべきだった。

今になってそう思う。

誰もが羨む職場であったので、居心地の良さやらステイタスやらでついだらだらと居座ってしまった。

まさに長い間ぬるま湯につかっていたのだな、俺は。

夜明け前の冷たくて凛とした空気が好きだ。

会社の仕事のためではなく、自分の人生のために早起きする喜びを今俺は味わっている。